蝶と蛾の見分け方
 蝶と蛾は分類上はどちらも「鱗翅目(チョウ目)」に入ります。つまり、蝶と蛾は同じ種類といえるわけです。
 でも、蝶と蛾は普通の人は分けて考えています。 不思議と蝶はよいイメージで、蛾は悪いイメージを与えられています。……同じ種類なのに。
 では、蝶と蛾はいったいどこで見分ければいよいのでしょうか。こんな「俗説」聞いたことはないですか?
「羽を閉じて止まると蝶」
「羽を開いて止まると蛾」
 実は、これらは当てはまりません。タテハチョウの仲間はよく羽根を開いて止まっていますし、羽を閉じてしまう蛾もいます。 このように、例外がいっぱいいるので、あまりどころか、全然当てになりません。
 まずは下の写真を見てください。これは「スミナガシ」という蝶の写真です。見事に羽を開いて止まっていますね。
 これで、「俗説」が当てにならないことは分かっていただけたと思います。では実際に見分ける方法は何なのでしょうか。
 実は触角を見ることで、蝶と蛾は区別することが出来ます。下に3枚の写真を掲載します。 これは、2枚が蝶の触覚の拡大写真で1枚が蛾の触角の拡大写真です。 蝶は「クロヒカゲ」と「ゴマダラチョウ」の触覚です。蛾は「キンモンガ」の触覚です。どの触覚がどの昆虫のものか、分かりますか?
 答えを書きますと、左から順に「クロヒカゲ」「ゴマダラチョウ」「キンモンガ」です。
 さぁ、クロヒカゲとゴマダラチョウの触覚を見てください。 触角の先が膨らんでいるのが分かると思います。 対して、キンモンガの触覚には、膨らみはなく、糸のようにまっすぐです。
 このように、触角の先が膨らんでいるのが蝶の仲間で、それ以外の触角を持つものは、みんな蛾、とされています。 糸状の、スラッとした触覚のほかに、「櫛」のような触角を持つものがいます。
 下の写真は、櫛タイプの触覚を持つ蛾です。オオシロエダシャクという、シャクガの仲間になります。
 このように、蝶と蛾は触覚で見分けることが一般的です。 触覚の違いさえ理解できれば、誰でも簡単に見分けることが出来ます。
 でも、最初に書いたとおり、蝶と蛾は大きく分けたら同じ「鱗翅目」です。 「蛾」だからといって、あまり嫌わないでくださいね。

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